『タクティクスオウガ』(クエスト/SFC)

 最後のページまで読み終えていない本についてなにごとかを語るという行為が、全くの無意味であるのと同様に、エンディングを見ていないゲームについての言葉もまた、一切の価値を持ち得ません。
 と、いつになく大上段に構えて書き出してしまったのは、発売からほぼ十年が経過した今になってようやく『タクティクスオウガ』を自力クリアできたことに少なからず浮かれているからです。ひゃっほう。ふぁいでぃっだー(FIGHT IT OUT)。たとえ終盤の展開が毎回、スペルチャージでアニヒレーションでペトロクラウドで弓弓弓弓弓こんぐらっちゅれいしょんず、だったとしても自力は自力。
 十年経ってキャラクターの見方が変わったのかもしれませんが、カチュア姉さんがそれほどデムパ出してるヒロインには見えませんでした。自死展開を見なくてすんだ(見逃した)のもあるし、この十年で他に色々すごいの見ちゃったからなあ。『リヴァイアス』のファイナ(「私の過去になりなさーい」)とか『SEED』のフレイ(「昨日はキラの部屋に居たんだから!」)とか。それらに比べれば、


 ≪…どうして姉さんのいうことが聞けないの。≫


 ≪利用できそうだからおべっかを使ってるんじゃない。あなたみたいに我を通すだけの能なしじゃないの、私は。少しは感謝しなさいよ≫


 ≪…私を置き去りにする気ね。≫


 ≪手に入らないのならいっそ……≫


 くらい、全然大したことは……いや、やっぱり姉さんが最高。湿った執念の発酵ぶりにもうメロメロ。デニム同様に「何言ってるんだ。勝手なことばかり言うのはやめてよッ!」と叫びたくなります。笑顔で。
 ファンタジー世界で革命戦士やってるシスティーナの「誤解ですッ、それは司祭ブランタら現政権によるプロパガンダですッ!」という台詞もポイント高いです。暗黒ランスロットの「ガン細胞」発言はさらにその上を行く。