2005-08-01から1ヶ月間の記事一覧

『かえってきた、ぺとぺとさん1 フーコの空』 『かえってきた、ぺとぺとさん2 まっくらやみのピィ』 (木村航/ファミ通文庫) 思えば、これも報われないシリーズだった。単なるキャラクター先行の萌えハーレム系小説を装いつつ、影のテーマが多数仕込まれ…

機動戦士ガンダムSEED DESTINY 第45話

OP曲をフルサイズで聴いたら歌詞の凄まじさに戦慄した アスラン「……すまない」 なにその嬉しそうなカオ! まったくこれだから夫婦は。 息子!? 作戦を説明するシーンで一瞬だけ映った、グラディス艦長の息子。子供がいる、ということは、議長とは不倫だっ…

『ロミオとロミオは永遠に』(恩田陸/ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)

フィクションの度合いが他の恩田作品と比べると極端に強いので、却っていつも感じるような問題点(無自覚な選民思想とか)が全く気にならず読み易かった。その代償として文章が垢抜けないものになっている(「敢えてそうしているのだ」というのは言い訳でし…

『名探偵 木更津悠也』(麻耶雄高/光文社 カッパ・ノベルス)

『翼ある闇』を読んだ人間には、このタイトルもカバー折り返しに書かれた香月(作者)の前書きも、麻耶お得意の皮肉にしか見えないことだろう。しかし、必ずしもそうではないということが、実際に読んでみると納得できるはずだ。木更津はたしかに名探偵だっ…

『猫の恩返し』

金曜ロードショーで。 思ったよりもジブリ、というか宮崎していなかった。てっきり、もっと宮崎テイストを忠実に再現した、と言えば聞こえがいいが完全にデッドコピーな代物になっているものと予想していたのに。いい意味で裏切られた。非宮崎絵が、ジブリク…

いま一番ほしいものは一貫性

時間だけは売るほどある生活を送っていると、簡単に精神が危険な状態に陥ってしまいます。たとえば、以前に強烈にムカついたことが何の脈絡もなく唐突に思い出されて、その怒りのやり場に困ることなどが時々あります。今日思い出したのは、「それなりのキャ…

『僕たちの終末』(機本伸司/角川春樹事務所)

未読の人にまず言っておきたいのは、表紙は詐欺だ、ということ。イラスト描いたD・Kの脳内ではこんな感じなのかもしれないが、ちょっとイメージ違いすぎ。タイトルも、間違ってはいないんだが、微妙にズレた印象を与えそうな気が。俺は実際に読むまではセ…

『「アリス・ミラー城」殺人事件』(北山猛邦/講談社ノベルス)

「北山猛邦は、多分ものすごくミステリ狂いな人なのに、初期の新本格みたいに作中で登場人物にミステリ談義をさせたりしないところが好感を持てるよねえ」とか一人で勝手に頷いていたら、三作目でやっちまいました。しかも「孤島に建つ不可解な城に集められ…

『妖女のねむり』(泡坂妻夫/新潮社)

奇しくも、昨日読んだ『瑠璃城』と同じく転生がメインのネタになっていた。もちろん扱いの方は全く異なっているのだが。前世や転生について、それが有るのか無いのかという単純な二択ではなく、登場人物それぞれに異なった認識を持たせているのが面白い。あ…

『「瑠璃城」殺人事件』(北山猛邦/講談社ノベルス)

メフィスト賞、受賞後第一作。城シリーズ(?)二作目。 講談社ノベルスとしては薄めの前作よりさらにページ数が減ってて、大丈夫かいなと思いながら読み始めたのだが、これが何と申しますかいやあんたその(田中哲弥風動揺)。全編通して、ぎっちぎちにネタ…

『密室の鍵貸します』(東川篤哉/光文社カッパノベルス)

デビュー作。ゴリッゴリの本格。ストイックでさえある。有栖川有栖の推薦は伊達ではない。文体の軽さに騙されてはいけません。今まで読んだ三冊の中では一番好きだ。……駄目だ! 普通の良作に対しては、あまり言葉を尽くす気が起こらない。ツッコミを入れるこ…

『ふつうの学校3 朝の読書はひかえめにの巻』(蘇部健一/講談社青い鳥文庫)

今回はミステリ自体はあまり大したことがない。というよりもこの事件は、完結していないのではないだろうか。回収されてない伏線もあるし。次以降に期待。しかし、最後の一行は凄かったなあ。鮮やか過ぎる。ちょっと涙が出た。 シリーズ全体の仕掛け(という…

機動戦士ガンダムSEED DESTINY 第44話

「ラクスとラクトアイスって似てるよね?」「全然」 速攻否定 ジブリール「すぐにオーブの彼女と連絡を取れ!」 ラクス「無論私は、ジブリール氏を庇うものではありません」 ジブリール「!?」 タイミングいいなあ。 昔の漫画に出てくる未来人みたいな ミー…

『ラス・マンチャス通信』(平山瑞穂/新潮社)

ファンタジーノベル大賞受賞作。 なんなんだ、ちょっと前に読んだ『太陽の塔』といい、最近のファンタジーノベル大賞は駄目人間を推奨しているのか。別に悪いことではないが、誰に対してアピールしているのだろうかと少し心配になる。俺とかか。 とことん駄…

『学ばない探偵たちの学園』(東川篤哉/実業之日本社 ジョイノベルス)

二冊目を読んで、なんとなく分かった気がする。この作者は、本格ミステリがやりたくてやりたくてしょうがなくて、その邪魔にしかならない(こともないと思うが、取り敢えずここでは言い切っておく)人間ドラマ等を排除するために、このような軽い文体、軽い…

『ふつうの学校2 ブラジャー盗難事件の巻』(蘇部健一/講談社青い鳥文庫)

二巻になって、物語としてもミステリとしてもグレードアップ。特にミステリ部分のメインのネタは、圧倒的に分かりやすく且つサプライズが大きいという、児童向けとしては理想的なもの。これなら十分、はやみねかおるの対抗馬になれるのではないか。羽住都の…

『花物語(上・中・下)』(吉屋信子/国書刊行会)

読む前に「少女小説」に抱いていたイメージ通りの内容。安心安心。殆どの章は、少女達のエス的な関係の形成から崩壊までを描いている。そうでないものも、悲劇的な結末が多い。現代の薄ぬるいフィクションに慣らされた身には、どんだけ美しかろうが三十本以…

『銀の檻を溶かして 薬屋探偵妖奇談』(高里椎奈/講談社ノベルス)

メフィスト賞受賞作ではあるが、ミステリとしてはハナっからあまり期待していなかったし、決定的な矛盾があるとか灯油かけて燃やしたくなるようなトンデモトリックだとかいうこともなかったので、その辺の感想については省く。まあ良くも悪くも、そこそこ、…

機動戦士ガンダムSEED DESTINY 第43話

無限正義出撃と演説の回 カエルに見えた ミネルバに向かって突撃していった時のネオの顔、目が離れすぎ。今回、ここだけ変に作画が崩れてた。 マリュー「整備班! 緊急着艦用意!」 飛行不能状態に陥ってまともに着艦できるかどうかさえ微妙(失敗すれば確実…

『ビートのディシプリン SIDE4』(上遠野浩平/電撃文庫)

言いたいことは山ほどあって、例えば≪ちなみに彼は料理も上手だ。サムライだけあって、包丁使いがすごくうまいのである≫という文は、自分の創作したキャラクターとは言え、イナズマさんに対してどうなのさ上遠野先生、とか。しかし、それらをぶっちぎって敢…

『BG、あるいは死せるカイニス』(石持浅海/東京創元社ミステリ)

あらすじを誤読して、単純に男女の立場が入れ替わっただけの世界観だと勘違いしてた。そのおかげで、中々手が伸びなかった(「そんなしょうもねえ勘違いフェミの臭いのする本なんて読めるか!」)のだが、実際の設定はもう少し複雑だった。俺も悪いが、あの…

『ふつうの学校』(蘇部健一/講談社青い鳥文庫)

名前だけは方々で聞く『六枚のとんかつ』の人。青い鳥文庫で書くようになったのか。 最近の児童文学なんて、正直はやみねかおるぐらいしか読んでいないのだが、その上で適当なことを言わせてもらう。よくある「破天荒だけど生徒のことを誰よりも考えている先…

『館島』(東川篤哉/東京創元社 ミステリ・フロンティア)

読み易くはあるが、どうにも「暴発したライトノベル」のような印象が強い文体とキャラクター。これがウリだと言われてもなあ、と思いながらも読みすすめると、ミステリ的な部分の方はがっちりしてました。これなら、全体的にはもっとシリアスに書いた方が面…

『乱れからくり』(泡坂妻夫/創元推理文庫)

最初の被害者は隕石が直撃して死亡! それが単なる装飾ではなく、ちゃんとした伏線になっている。つまり、他はともかくこれに限っては純然たる事故であったということが、後々に意味を持ってくるわけですね。ダイイングメッセージの意味はすぐ分かったのに、…

『よくわかる現代魔法 ガーベージコレクター』 『よくわかる現代魔法 ゴーストスクリプト・フォー・ウィザード』 『よくわかる現代魔法 jini使い』 『よくわかる現代魔法 たったひとつじゃない冴えたやりかた』 (桜坂洋/集英社スーパーダッシュ文庫) …

『伴先生』(吉屋信子/国書刊行会)

少女小説って、もっとこう、なんていうか、リ、リリカルなものだと思ってたんですが。嶽本のばらの解説によると、作者のその他の作品とは大分、趣を異にするようなのでとりあえず一安心ではあるが。他も読んでみよう。 半ば呆れてしまったものの、こういう嵐…

機動戦士ガンダムSEED DESTINY 第42話

色々詰め込みすぎの感がなくもない回 逆ギレだよね 「あなたはムウじゃない……ムウじゃないんでしょ!」相変わらず女丸出しのマリュー艦長です。いつのまにか有能な指揮官ってことになってるが、前作での戦果は、ほとんどキラの手柄じゃないのか。 女子からも…

『半落ち』(横山秀夫/講談社)

こういう一般向けのエンターテイメント作品を、普段自分がほとんど読んでいないことに気付いて愕然とした。表現等が変に凝っていないため、思ったよりもスイスイ読めて、なるほどこれが一般向けということかと勝手な感想を抱いた。 どこで読んだのか全く思い…

『双頭の悪魔』(有栖川有栖/東京創元社)

シリーズ三作目。 今回は、章ごとに(必ずしも交互ではない)アリスとマリア、二人の語り手が入れ替わる形式になっている。慣れてないせいかもしれないが、マリアの語りの自意識過剰ぶりには大変イライラさせられた。≪犯人が食事をしている(中略)教えてよ…

『アンダカの怪造学Ⅰ ネームレス・フェニックス』(日日日/角川スニーカー文庫)

こういう表現はあまり好きではないのだが「(ポケモン+ハリポタ)÷3+いつもの(薄めた西尾維新としての)日日日」という印象。「ポケモン」の部分には、別の「モンスターテイマーもの」を自由に代入してもらって構わない。ポケモン系との類似はいちいち指…