『ラス・マンチャス通信』(平山瑞穂/新潮社)

 ファンタジーノベル大賞受賞作。
 なんなんだ、ちょっと前に読んだ『太陽の塔』といい、最近のファンタジーノベル大賞は駄目人間を推奨しているのか。別に悪いことではないが、誰に対してアピールしているのだろうかと少し心配になる。俺とかか。
 とことん駄目な主人公がどこまでも流浪する話。それだけで満点。ラストでも、それまでの苦境の見返りのような強烈なハッピーエンドが待っているわけではないが、少しのカタルシスはある。より駄目な方にであったとしても、変化があるのはいいことだ。
 作者は女性名に見えるがどうなんだろう。このようなダメイズムを正しく理解出来る女性作家が現われたのだとすると、こんなに嬉しいことはないのだが。