読書

『幻獣遁走曲 猫丸先輩のアルバイト探偵ノート』(倉知淳/東京創元社)

猫丸先ぱいー。 日常のなぞー。 YEAH! 死体が出ない方の猫丸先輩。純粋に好みの問題で言うと、こっちの流れの方が断然ポイントが高いんですが、一度はちゃんとした殺人事件を解決している探偵役であるため、どうしても「一時の休息」的な短編集に見えてしま…

『ロボットの時代』(アイザック・アシモフ/小尾芙佐訳/ハヤカワ文庫)

初めて知った原題の見も蓋も無さに唖然。「残りのロボット」ってあんた。あれ、でももしかして「ロボットの休息」が正しいのか? 解説では前者にしてるけど。 解説にも書いてあることだが『われはロボット』に比べるとまとまりがあまりなく、三原則以前のけ…

『短歌があるじゃないか。 一億人の短歌入門』(穂村弘 東直子 沢田康彦/角川書店)

素人が投稿した短歌を、プロの方々がぼっこぼこにする本。 とりあえず、穂村弘って歌人としてはちゃんとした人だったのかという驚きが第一。あああ、ほむほむが解説してる、解説してるよ。 あとは、どんづまりの状態で「短歌があるじゃないか」という発見が…

『これで古典がよくわかる』(橋本治/ちくま文庫)

古文と現国が一つの科目としてカウントされてなければ、センター試験が大変なことになっていたであろう人間にも気軽に読めました。古典が分かるようになったかどうかは知らね。むしろ同じ作者の『桃尻語訳枕草紙』とかが読みたくなりました。

『TO THE CASTLE  DISCO UNDER GROUND』(桑島由一/集英社スーパーダッシュ文庫)

桑島由一の作品には、前半での馬鹿やって馬鹿やってというのを前フリというか踏み台にしてしまって終盤でシリアス展開狂い咲き、というパターンが多い(気がします)。この場合、主はもちろんシリアスで馬鹿の方は完全に従になっているんですが、このシリー…

『シナオシ』(田代裕彦/富士見ミステリー文庫)

『キリサキ』の姉妹編。 『キリサキ』は、×××××(字数関係無し)だろうと思ってたら全然ハズレで、そこを一番に評価していた作品だったのですが、今回は×××××でした。うーん、ラノベでミステリをやろうとするとどうしてもそうなるか。といっても、解決が予想…

『成吉思汗の秘密』(高木彬光/カッパ・ノベルス)

予め言っておきますが、今年の大河ドラマは見てませんでした。 「ジンギスカン=義経」という例のアレ。それをマクラにして何か事件を解決するのかと思ったら、最後までそのまんまでした。しかも、あとがきを見る限り作者は大マジ。トンデモを、本気で信じた…

『女王様と私』(歌野晶午/角川書店) 『てるてるあした』(加納朋子)

なんでこの二冊を並べて書くのかというと、ミステリ的な要素とは全く関係がなく、どちらもニートにとってクリティカルな内容だから。鎌池和馬風に言うと「とある推理の無職殺し(ニートキラー)」とか。どうでもいいよそんなの。 『女王様』の方は、これって…

『やさしい死神』(大倉崇裕/創元クライム・クラブ)

落語ミステリ。連作短編。シリーズ三作目。一、二作目は読んでません。そういうこともある。 探偵役が落語家だったけど、落語自体はそれほど事件に絡まなかった北村薫の「円紫師匠と私」シリーズ等とは違い、ガチンコで落語がモチーフになってます。それで浅…

『玉響荘のユーウツ』(福田栄一/トクマ・ノベルズEdge)

もしかしてこの作者、メイド喫茶をなにか風俗的なものと勘違いしてやしないか? 大差ないとは思うけど。 普通に面白い、ミステリーではないし、ハードボイルドでもないし、コンゲームというほど騙しあいはしてないし、シチュエーションコメディというのが一…

『ゆにこん1 白馬にのったお姉ちゃん』(子安秀明/富士見ファンタジア文庫)

件の「あかほりを超えた漢」。帯をよく見たら、小さく(あかほりさとる談)とあって、本人が言うなら確かにそうなんだろうと、本編を読む前から暗い気持ちになれました。 第一印象は「白い白い白い」。 ライトノベルでも久しぶりに見ましたよ、こんなに下半…

『うそつき 〜嘘をつくたびに眺めたくなる月〜』(日日日/新風社文庫)

貸してくれた(本人の中では「あげた」ことになってるらしいですが)人が、物凄い勢いで罵倒していたので、一体どんな核地雷なのかと期待しながら読んだのですが、思ったよりはおとなしかったです。確かに普通に読んだら死ぬほどイライラさせられる文体と内…

『名乗れ!今こそ大英雄 新ソード・ワールドRPGリプレイ集10』(清松みゆき:監修 秋田みやび・グループSNE著/富士見ドラゴンブック)

反吐が出るほどおもしれー。 基本的に単純な人間なので、新作ゲームの煽り文句で「ゲームでしか味わえない感動!」とか言われると、表面上は「けっ」と冷静を装いつつも内心では果てしなく気になってしまいます。その動揺に負けて購入し実際にプレイしてみる…

『TO THE CASTELE』(桑島由一/集英社スーパーダッシュ文庫)

終盤、スピード感があればいいってもんじゃねえんだよと口走りそうになりましたが、スピード感しかないわけではないので撤回します。いいとか悪いとかではなく、すごい。たぶん作者がファンタジーをそんなに好きじゃないのに書いているのもすごい。 桑島由一…

『ドストエフスキー全集6 罪と罰』(小沼文彦 訳/筑摩書房)

笑うなよ。 笑うなってば。 初期の佐藤友哉が本当に本来の意味で凄かったのは、普通だったら絶対に他人が共感できないようなごく個人的なわだかまりをちゃんと起承転結のあるエンターテイメントに乗せて昇華できていたからで、ちょっと前の佐藤友哉が駄目っ…

『アストロ! 乙女塾!』(本田透/スーパーダッシュ文庫)

文庫なのに二段組みとか、合間合間にちょっとしたコラムや解説イラストが挿入されたりとか、外側はそれなりに変化球してますが、倉田英之が推薦文で言うほどには中身は壊れていないと思いました。古き良きハーレムラブコメの枠にちゃんと(「ちゃんと」と言…

『とある魔術の禁書目録7』(鎌池和馬/電撃文庫)

最初は何となくその場のノリで書いていたと思われる宗教関係の嘘設定が、最近は自覚的にカッコよさげに書くようになってきたのではないかなあ、と見ましたが。これはライトノベル的には全面的に正しいと思います。嘘っぱちを書く勇気って大事。 意識的なもの…

『ツチヤ学部長の弁明』(土屋賢二/講談社)

書いてる内容はいつも通りなんですが、学部長になってもそれまでと同じことを書いたり言ったり出来ているというのは、やはり尋常ではないと思います。

『百鬼解読 妖怪の正体とは?』(多田克己/講談社ノベルス)

京極堂とメガテンにガチンコでハマっていた時期なら、もっと楽しめたと思います。なので、いま現在ハマり中な方は読んでみても損はないのでは。 一説によると釜はカーマ(愛欲の神)の当て字で、そこから転じて肛交を意味するようになったという話は、何かに…

『禁涙境事件』(上遠野浩平/講談社ノベルス)

久しぶりに図書館に行ったら棚にあったので、つい借りてしまいました。まさか上遠野作品を図書館で借りる日が来ようとは。 『私は虚夢を月に聴く』に似た話でした。多くの人は、なんでだよ、全然違うだろ、イマジネーター出てねえじゃねえか、と文句を言われ…

『狗狼伝承 天涯少女・シノ』(新城カズマ/富士見ファンタジア文庫)

帯のコピーは「伝説完結!」。『封仙娘娘』と合わせてるんでしょうか。最近の富士見自体がそうなってるのかもしれないけど、今月の新刊の帯は変なのが多かったです。「あかほりを超えた漢」なんてのまで。気にはなるけど同時に正気を疑います。 介錯の絵が変…

『封仙娘娘追宝録9 刃を砕く復讐者(下)』(ろくごまるに/富士見ファンタジア文庫)

帯のコピーは「伝説復活!」。もっと奇抜なので来るかとも思いましたが。「どうもすいませんでした」とか。 表紙イラストの構図は、ちゃんと上巻と対になっています。ちゃんと、と軽く書きましたが、これがどれだけエラいことなのか、深く考えると気が遠くな…

『封仙娘娘追宝録8 刃を砕く復讐者(上)』(ろくごまるに/富士見ファンタジア文庫)

下巻の発売に備えて、ブックオフで購入の上再読。 まずは本文からの引用を一つ ≪護玄は考えたが、答えは判らない。 だが、その答えが目の当たりになるのは、そう遠い日ではないのだ。≫ まあ確かに、仙人の感覚では大した時間ではないですよね、六年なんて。…

『ぼくたちには野菜が足りない 畑に関するLesson1 それ絶対植えてみよう』(浅沼広太/スーパーダッシュ文庫)

もっと馬鹿小説的なものを期待していました。 正直読むのが辛かったし多分続きを読むことはないと思うのですが、作品に難点は殆どありません。低年齢向けのライトノベルとして、やるべきことをきっちりやっています。単に、自分がターゲットから完全に外れて…

『ネコソギラジカル(上)十三階段』 『 〃 (中)赤き制裁vs.橙なる種』 『 〃 (下)青色サヴァンと戯言遣い』 親から「これで靴下でも買いなさい」と渡されたJCBギフトカード三千円分でまとめ買い。(上)と(中)の帯が「西尾氏、イチ押し。」になってい…

『海馬が耳から駆けてゆく(1)』(菅野彰/ウイングス文庫)

エッセイ。 面白かったけど、読み終えてみると一番印象に残っていたのは「なんで女ってこんなに旅行好きなんだ」ということ。逃避願望なのか? 馬鹿野郎! どこに逃げたって「お前はお前」だろ!(何の意味もない説教。『BLOOD+』で使われていたのを見た時…

『もうおうちへかえりましょう』(穂村弘/小学館)

エッセイ。感想は上に同じ。

『世界音痴』(穂村弘/小学館)

エッセイ。 この人のエッセイを読むのは二冊目なのだが、やはり泣ける。泣けると言っても、万人が共感できる当人には何の負い目もない悲劇(知人の死とか)が書かれているわけでは全然なく、逆に多くの人間にとっては「うわなにこいつキモ」としか感じられな…

ワンダワンダ

CMがガンガン流れている『ワンダと巨像』の記事をファミ通で読んでみたら、大層おもしろそうなコンセプトのアクションだったので、いずれニートを卒業して余裕が出来たらプレイしようと決意しました。 直後に、Shake氏から電話でエンディングのネタバレ…

『ロクメンダイス、』(中村九郎/富士見ミステリー文庫)

決して完成度は高くない。文体は不安定だし、作中で頻繁に繰り返される言葉遊びは垢抜けないし、そもそも「恋をしなければ死んでしまう少年と恋をしてはいけない少女」という設定だけで、人によってはもう完全に読む気を無くすだろう。 しかし、それでもどこ…