読書

『トリニティ・ブラッド Reboron on the Mars 嘆きの星』(吉田直/角川スニーカー文庫)

噂に聞くほどにはゴスゴスしておらず、却って安心した。一巻目は、完全に世界観のイントロダクション的な話に終始している。ベタなところから始まって、徐々にそこからずらしていくタイプの作品なのだろうと思う。機会があれば二巻以降も読みたい。

『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア(前篇)』 『 〃 (中篇)』 『 〃 (後篇)』(富野由悠季/アニメージュ文庫) ベギャーン! JOJOの人ほどには注目されないけど、富野由悠季の擬音もなかなかのものだと思う。 オリジナル展開だとどこかで聞いたこと…

『荒野の恋 第一部 catch the tail』(桜庭一樹/ファミ通文庫)

ぐわー! こんなのただの桜庭一樹じゃねえか! 面白いけど。 今回はいつもの「桜庭一樹臭さ」が薄いから大丈夫だと勧められたので読んでみたが、思わず「ガセビアの沼」ばりに「嘘つき!」と叫びたくなった。この、女性性に対する極端にアンビバレンツな感情…

『電波的な彼女』(片山憲太郎/スーパーダッシュ文庫)

殺人鬼とか前世妄想に取り付かれた電波女とか最強母とかが暴れながらも、地味で面白い作品。「地味『に』」ではないところに注意。本編もあとがきも真面目さに満ちていて、一歩間違えれば生硬さに陥りそうだったが、ぎりぎりで回避。セーフ。 どうでもいいけ…

『クリスマス上等。』(MF文庫J/三浦勇雄)

行動する主人公二本目。 ずがーん。ばたーん。ひゃっほう。 そんな話だった。 勘弁してくれ。マトモな感想なんて書けそうにない。作品がつまんないとかそういうことでは全然なくて、ごく個人的な理由で。

『わたしたちの田村くん』(電撃文庫)

手元に本が無いので、タイトルの表記はうろ覚えだし、作者の名前に至っては一字たりとも思いだせん。悪いか? ああん? 表紙イラストがいかにも最近の電撃な代物だったり、電波とツンデレの二人のヒロインの人気投票がネット上で行われたりしていたので、て…

『リリカル・ミステリー 白い花の舞い散る時間 〜ガールズレビュー〜』(友桐夏/集英社コバルト文庫)

ジャンルがミステリー、そしてネット書評家の皆さんの間でちょっとした話題になっていて、しかもなんだか妙に歯切れの悪い口調で語られていたので「ははあ、これはまたぞろ例のアレに違いない」と予想しながら読んだら全く違った。だったら、なんで皆あんな…

『ぴよぴよキングダム3 あかりの国のあかり』(木村航/MF文庫J)

迂闊な知ったかぶりになりそうなので、あまり感想を書きたくない。ただ、仁村の「このストーリーの中に、僕の居場所はあるんですか?」は大変良かった。この社会の中に、僕(ニート)の居場所はあるんですか? ねえ? ねえ? しかし、この人の「あとがき」っ…

『19ボックス 新みすてり創世記』(清涼院流水/講談社ノベルス)

ははあ、この作品あたりから例の「毒者」発言が始まったのか。 ネット書評等において、ライトノベルの文章の特徴として「過剰に説明的」である点が挙げられることがままあるわけだが、説明的であることにかけては一連の「流水大説」の右に出るものはないだろ…

『撲殺天使ドクロちゃん6』(おかゆまさき/電撃文庫)

貸してくれた知人曰く「つまんねえええええ」。 『ドクロちゃん』に限ってそれはないだろう、『ヴァンパイア十字界』の読み過ぎであんたの感覚が狂ってたんだろうと、あまり真に受けずに読み始めた。 読了後、本を静かに閉じつつ「あー、うん、たしかに」。 …

『我が聖域に開け扉(上)』 『 〃 (下)』(秋田禎信/富士見ファンタジア文庫) いまさらながら、オーフェン本編最終巻を。 ハーティア。何はなくともまずハーティア。いきなり何の伏線もなくアザリーに「チャイルドマン教室の三強」にされてるハーティア…

『ザリガニマン』『イカ星人』(北野勇作/徳間デュアル文庫)

頼むから上を参照してください。 立て続けに読むと体に悪いということだけは分かった。

『昔、火星のあった場所』(北野勇作/徳間デュアル文庫)

いまさらだが、北野勇作の作品はコメントに困る。 毎回似たようなテーマ(記憶と現実の混交とか)と雰囲気(ノスタルジー)だし。女性キャラクターの造形もそっくり。 そこがいいんだけど、作品ごとに感想を語ろうとした場合、こっちとしてはどうしたらいい…

『妖怪文藝〈巻之弐〉 響き交わす鬼』(東雅夫・編/小学館文庫)

『仮面ライダー響鬼』へのリスペクト(編者解説より。マジで)として編まれた妖怪アンソロジー。こういうものをついフラフラと買ってしまうあたり、俺もつくづく諦めが悪い。 収録された個々の作品がどうこういうよりも、全体から滲み出る東雅夫の『響鬼』好…

『六色金神殺人事件』(藤岡真/徳間文庫)

ばーかばーか!(褒めてます) いや、コイツはすげえですよ。ミステリとしてどうとか言うよりも、ラスト数ページの圧倒的な馬鹿ハッピー感だけで傑作になっている。「伝奇? ミステリ? 小せえ小せえ」みたいな。(ちょっと前までの)『響鬼』とかを見ていて…

『天国にそっくりな星』(神林長平/ハヤカワ文庫)

探していた北野勇作の『昔、火星のあった場所』が見つからなかったので、「イラストレーター同じだし! どっちもSFだし!」と自分を無理矢理誤魔化して代わりに購入。で、読んでみたら予想外に北野勇作作品に似た作風で、喜んでいいものやら。これって、ど…

『リーンの翼 1』(富野由悠季/角川文庫)

アニメ化決定記念に読んでみた。 人から聞いて何かの冗談だと思っていた「フェラリオがフェラリオして、その直後に主人公の顔面に聖水シャワー」というシーンが、一片の嘘もなく本当にそのまんまだったのでのけぞった。しかも「何でそんなことをしてしまった…

『犬はどこだ』(米澤穂信/東京創元社 ミステリ・フロンティア)

実家に帰った時に、兄から貰った。しかもサイン本。 持つべきものは、首都圏に住む定収入のある兄弟ですね。 読了後、思わず「かいさいっ」と快哉を叫んでしまった(レトリックですよー)。今までの米澤長編の中では最高の完成度だと思う(一番好きなのは『…

『翡翠の城 建築探偵桜井京介の事件簿』(篠田真由美/講談社ノベルス)

前作『玄い女神』がシリーズ二作目にして、早くもとんでもない飛び道具をかましてくれてたので、次はどうなっているのかと思ったら意外なことに正統派だった。普通に建築探偵をやっている、という感じ。意外性はあまりないが、こういう安定感は嫌いではない。…

『美亜へ贈る真珠 短編傑作選〈ロマンチック篇〉』(梶尾真治/ハヤカワ文庫)

ネット上の『サマー/タイム/トラベラー』の感想の中に「タイムスリップで青春と言えば、そりゃあ何と言っても梶尾真治」というような発言が多数あったので「梶尾作品なんて『怒りのザーメン』しか読んだことねえよ!(嘘)」と半ば逆ギレしながら読むこと…

『マイノリティ・レポート』(フィリップ・K・ディック/浅倉久志・他訳/ハヤカワ文庫)

映画版の粗筋だけを見て、オチが気になってたので購入。問題の表題作は、意外なほどにちゃんとしたSFミステリになってました。映画の方も……見てみるかなあ、機会があれば。 最後に収録された『追憶売ります』(『トータル・リコール』の原作)の、いい意味…

『夢の樹が接げたなら』(森岡浩之/ハヤカワ文庫)

短編集。星界シリーズにあんまりハマれなかったので、こっちの方がおもしろい、というのが正直なところ。昔っから言語にこだわっている人ではあったんですな。収録作の中では『代官』という作品がイチオシ。鎌倉だか室町だか(分かんねえよ。日本史の成績は…

『眠り姫』(貴子潤一郎/富士見ファンタジア文庫)

ライトノベルには珍しいノンシリーズの短編集、と聞いて興味を持っていたところ、古本屋で見つけたので購入。どの収録作品も少なくとも、ライトノベルで且つ短編小説という要件は満たしている。それだけですでに、大したものだと感心してしまう。この先もっ…

『それでも君が ドルチェ・ヴィスタ』(高里椎奈/講談社ノベルス)

これって、少なくとも本格ミステリーではないよね? 設定がファンタジーであるということとは無関係にそう思う。というかあとがきを読むと、ファンタジーとかSFとか伝奇とかが、今までにも散々ミステリーに組み込まれてきたという歴史を作者が全く意識して…

『タクティカル・ジャッジメント 逆転のトリック・スター!』(師走トオル/富士見ミステリー文庫)

サイコロックもカットインもない、どこまでも地味地味な『逆転裁判』。以上。 いや、本当にそうとしか言い様がないんだってば! 噂には聞いていたが、ここまでそのまんまだと思わなかった。パクっている(かどうかは知らないが、とりあえず似てしまっている…

『屋根裏の二處女』(吉屋信子/国書刊行会)

イエーイ、百合! 百合! という内容かと思ってたらこれが。いや、全く違うかというとそんなことは勿論なく、結末を見て「ああ、ウテナウテナ」と思う(順番が逆です)くらいにはリリィスメルが充満してるのだが。解説を読むと、一般的には作者のカミングア…

『オリエント急行とパンドラの匣 ―名探偵夢水清志郎&怪盗クイーンの華麗なる大冒険―」(はやみねかおる/講談社青い鳥文庫)

この二人が共演すると、どうしてもクイーンの方が目立ってしまう。今回は海外での事件ということもあって、夢水サイドのレギュラーがほとんど登場しないことも、その傾向に拍車を。あと挿絵な。いかにも児童文学用の素朴なイラストと、ギラギラしたアニメ絵…

『コスチューム!』(将吉/産業編集センター)

今までにボイルズ・エッグの作家(滝本竜彦、三浦しをん、あとは『本格推理委員会』の人)の作品を幾つか読んだが、第一作(滝本は実質的には『NHK』が第一作)のテーマが何故かどれも微妙に重なっている気がする。「曖昧な救済」とか。それを、今までで…

『宝はマのつく土の中!』(喬林知 角川ビーンズ文庫)

それは一体どんな土なんですか。 という、シリーズ三作目以降のタイトル全てに当てはまるツッコミはともかく、本編第十二弾です。これだけ本出してても、自分はまだ「マ」シリーズしか書いてないから、ちゃんとした作家とは言えないのだと頑なに謙遜し続ける…

『イニシエーション・ラブ』(乾くるみ/原書房 ミステリーリーグ)

俺の愛する『浪漫探偵』を箸にも棒にも引っ掛けなかったので、個人的に深く深く恨んでいる『このミス』で「最後の1ページであなたはきっとびっくりして失禁するに違いない」的な紹介をされていた。「このウジ虫野郎ッ! それ完全にネタバレだろ!」と憤慨し…