『宝はマのつく土の中!』(喬林知 角川ビーンズ文庫)

 それは一体どんな土なんですか。
 という、シリーズ三作目以降のタイトル全てに当てはまるツッコミはともかく、本編第十二弾です。これだけ本出してても、自分はまだ「マ」シリーズしか書いてないから、ちゃんとした作家とは言えないのだと頑なに謙遜し続ける作者に、ちょっとだけ怒りを覚える。単に誠実な人格だってだけのことなんだろうけど。
 主人公が完全にシリアスな状況に置かれているため、笑いや(ぬるい意味での)萌えはその場にいない連中が担当。当然のことながら、分量は圧倒的に少なくなっている。そんな中でも着実に繰り出されるガンダムネタ。小説で「TWO−MIX」という単語を見たのはさすがに初めてな気がする。
 本筋の方は、終盤で驚愕の展開を。ストーリーとしてよりも、この作者もこういうことを書くのか! という驚きの方が強い。女性作家(含む漫画家)にとって、一度は書いておきたいシチュエーションなんだろうか。フィクションだと当たり前のように山ほど書かれているが、現実にこういう現象って起こり得るのだろうか。