『コスチューム!』(将吉/産業編集センター)

 今までにボイルズ・エッグの作家(滝本竜彦三浦しをん、あとは『本格推理委員会』の人)の作品を幾つか読んだが、第一作(滝本は実質的には『NHK』が第一作)のテーマが何故かどれも微妙に重なっている気がする。「曖昧な救済」とか。それを、今までで最もはっきりとエンターテインメントとして昇華させることに成功している作品、なんだと思う。あそこまでしつこく「救いなんかではない」と言われると、逆にどうしたって救いに見えてしまうのは、たぶん狙い通り。
 あらすじや作品紹介等では、主人公とレイヤー仲間の友人しか目立っていないが、真に注目すべきはカメコの楠木。普通にカッコイイんですけど。