『翡翠の城 建築探偵桜井京介の事件簿』(篠田真由美/講談社ノベルス)

 前作『玄い女神』がシリーズ二作目にして、早くもとんでもない飛び道具をかましてくれてたので、次はどうなっているのかと思ったら意外なことに正統派だった。普通に建築探偵をやっている、という感じ。意外性はあまりないが、こういう安定感は嫌いではない。
 という取り澄ました感想はどうでもいい。萌える。どこがどうと言うわけではないが、とにかく萌える。名前だけは以前から出ていた神代教授の、江戸っ子で且つ蒼を溺愛しているという設定もいい。京介の前髪で隠れた素顔を初めて見た女性が言葉を失う、というベッタベタなお約束も悪くない。美少女が現われても、京介の顔を見慣れているからという超絶ありえねえ理由によって全く心を動かされない蒼さえも、笑って許せてしまう。
 俺、狂ったんじゃないだろうか。
 多分『薬屋探偵』を読んだ反動だろうとは思うが。