『ふつうの学校』(蘇部健一/講談社青い鳥文庫)

 名前だけは方々で聞く『六枚のとんかつ』の人。青い鳥文庫で書くようになったのか。
 最近の児童文学なんて、正直はやみねかおるぐらいしか読んでいないのだが、その上で適当なことを言わせてもらう。よくある「破天荒だけど生徒のことを誰よりも考えている先生」ものなんだが、この「破天荒」の部分をちゃんと書いているのがまず偉い。初登場シーンでは、ロリAVの女優がパッケージより老けてたとビデオ屋の店員に食って掛かってました。なんだかんだで大抵の同系統作品では、先生が単なるいい人になってしまっている印象があるので、こういう描写は絶対に大事。
 キャラクター配置も妙にうまくて、クラスの問題解決のために策を弄す先生(ある意味では犯人役)に対応する形で、そのトリックを見破り、後で主人公達に真相を教えてくれるクールな転校生(探偵役)が置かれている。このおかげで、意外にちゃんとしたミステリとしての体裁をなしていると思うのだがどうだろう。