『アンダカの怪造学Ⅰ ネームレス・フェニックス』(日日日/角川スニーカー文庫)

 こういう表現はあまり好きではないのだが「(ポケモン+ハリポタ)÷3+いつもの(薄めた西尾維新としての)日日日」という印象。「ポケモン」の部分には、別の「モンスターテイマーもの」を自由に代入してもらって構わない。ポケモン系との類似はいちいち指摘するまでもないが、特にキャラクターの配置の仕方に強く現われているように見えるハリーポッター臭さは、意図的なものなのだろうか。いまさら参考にする意味があるとも思えないんだが。
 「天才は凡人を無条件で超える」というテーゼは、日日日の作品に繰り返し表れるが、その表現の隙の多さが気になってしょうがない。西尾維新も同じようなことをやってはいるのだが、少なくとも戯言シリーズ二作目以降では天才を表現するのに「天才」という語を直接用いるような恥ずかしい真似はしていないし、表面上は「天才と凡人」という区分そのものを無効化するような書き方をしている(これがどういうわけか「りすか」では信じられないぐらい露骨な書き方をしてしまっている。語り手の性質の違いを表現するための措置なのか)。日日日にも、せめてそのくらいの節度は持ってもらいたい。
 とりあえず、今回も貶してみました。