運命日記3(『Fate/stay night』(TYPE-MOON))

 Cルート終了。タイガースタンプも全て獲得。言いたいことが山ほどあるので、今日はネタバレありの方向で。『Fate』未プレイで且つ、将来においてプレイする可能性が僅かでも存在している方はご注意を。能性が僅かでも存在している方はご注意を。






 とりあえずはCルートについて、何を置いても言っておきたいことが一つ。


 長すぎ。


 最終ルートだから、と気張ったのは分かるが、これはちょっと限度を超えてる。ちゃんと確認したわけではないが、十時間以上かかってるような。これなら、桜シナリオと別にもう一本ヒロイン無しのグランドルートでも作って、要素を分割した方が良かったのでは。総プレイ時間はどれだけ長くなっても構わないが、一つのシナリオにダラダラと付き合わされるのは正直けっこう苦痛。『空の境界』の「矛盾螺旋」を思い出した。


 それから、ヒロインについて。こういうことを言うと、『クリスマス上等。』を読んで、「俺ってヒロインがスタイルばっちりでほどよくエッチなのが好きだから、こういうのはちょっとね(笑)」などという感想を臆面もなく不特定多数の人間の前に晒してしまう知欠と同類になってしまいそうで嫌なのだが、このヒロイン(間桐桜)に関しては少々ゲンナリさせられた。境遇はもうこれでもかとばかりに悲惨で十分同情に値するのだけれど、言動がどうにもならないほどストーカー気質なので帳消し。分かる人には分かる表現で言うと「美樹原愛的ウザさ」に溢れてる。終盤でラスボス化していることから、作者の意図としては『月姫』における琥珀的な位置づけにしようとしたのだろうと思われるが、あの「それまでの同居型ラブコメ的ほのぼのを全部ひっくり返す神展開」に匹敵するほどのインパクトもない。ぶっちゃけ小者。ヒロインの内の一人なら許容できるのだが、コイツにグランドフィナーレを飾られるのはちょっと納得いかない。蛇足だが、TYPE-MOON作品では「最終ヒロインのみ非処女。しかも性的虐待によって破瓜」というのが黄金パターンとして確立されそう。「私、処女じゃないんです」そんな勢い込んで言わんでも。


 Cルートについて文句ばっかりつけてきたが、いいところも勿論ある。それは、


 言峰最高。


 ということだ。
 これは完全に趣味の問題だろうが、個人的に「いいヤツと思ったら実は悪いヤツ」よりも「悪いヤツと思ったら実はいいヤツ」のパターンの方が断然好き。さらに、より細かく言うと、後半を「実は……?」くらいに上品に留めてくれればこれはもう申し分ない。というわけでこれに完璧に当てはまるCルートの言峰神父は、ギラギラに輝いていました。黒鍵ブン投げてアサシンを撃墜! ぬらりひょん(間桐ジジイ)を壁にゴリゴリ擦りつけながら聖句を唱えて浄化! なんの伏線もない中国拳法で士郎をボコボコに! これだけでも圧倒的だが、さらに「主人公とその養父に対して重度のツンデレ」という要素が加わるのでもう手が付けられない。


 結論:Cルートは言峰シナリオ


 ひゃっほう。


 キリがないので、全体を通しての感想へ。思いつくまま適当に箇条書き。


・多作品とのリンクがちらほら。目に付いたのは、言峰の黒鍵、CルートトゥルーEDで士郎の素体を作った人形師(たぶん橙子)、同じくCルートトゥルーEDでライダーが掛けている眼鏡(遠野志貴のそれと同様のもの?)、くらい。たぶん探せばもっとある。


・素朴な疑問。仮に「投影」できたとしても、士郎程度の魔力ではエクスカリバーはまともな威力を発揮しないのでは。アンリミテッド・ブレイドワークスで複製された宝具も同様。揚げ足取りか。


美綴がストーリーに全く絡まないってどういうこと。アレは単に、プレイヤーに誰がマスターなのか混乱させるためだけのダミーキャラなのか。Bルートで、ボロボロになっているところを保護されたというのは、単に調子に乗った慎二にヤられただけ? 一成でさえ、主人公を殺す展開があるのになあ。デッドエンドだけど。


・『月姫』の『月蝕』みたいなエクストラシナリオは絶対欲しかった。ああいうのがないと、いまいち達成感が湧かない。淋しい。


・ああ葛木先生! 最近多いな、こういう「何の理由もなくものすげえ強い」キャラ。設定はあるんだろうが作中で全く説明されてないから、ただただ謎の達人であるという印象しかない。ブラボー。


・Hの理由がほぼ全て「魔力供給のため」。これはいけません。正しい伝奇小説の系譜に沿っているとも言えるが。


 やはりキリがないので、まとめ。クオリティで言えば間違いなく『月姫』以上だが、当時無職の奈須きのこの発狂寸前の思い入れと怨念がはみ出しそうな『月姫』の方が個人的には好き。『Fate』はお行儀が良すぎると言えなくも無い。ただ、Bルートだけはぶっちぎりで大好き。次回作はもう今度こそエロ抜きでいいです。以上。