『So What? 1〜4』(わかつきめぐみ/白泉社文庫)

 心の漫画。いつ黴が生えるか分からないというイヤな危機感に襲われたので、今のうちに再読。
 あらすじ。主人公である阿梨は、祖父の実験の失敗で呼び寄せられた異世界の少女ライム、幽霊となった祖父、祖父の教え子である海堂氏、中学の時の同級生である桃太郎、の四人と一つ屋根の下で暮らします。暮らしました。終わり。


 「…夕飯までには帰ってきなさいよ
  遅れたら食べさせないから」


 うわあ、ツンデレだ。いま読み直すと、ライムの阿梨に対する言動のことごとくが典型的なツンデレにしか見えなくて楽しいです。別に無理矢理に百合にしようとしているわけではなくて(さすがにそういう時期は過ぎました)、友情上でもツンデレは成立するという話です。現実においてはどうだか知りませんが。というかツンデレ自体の実在が疑わしいのか。ファッキンシット! なんてつまらない世の中だ。
 実はよく考えたら、作者と同性の取り柄に乏しい主人公に他のメインキャラクターが総惚れという、あんまり好きではない人物配置の漫画なんですが、昔も今もほとんど気になりませんでした。たぶん、作者が主人公に自己投影している度合いが低い(ちゃんとキャラクターとして描かれている)のと、主人公が最後までどの男性キャラクターとも直接的な恋愛関係を結ばないのが原因ではないかと。却って同性の読者だと、こういう「恋愛をしない」主人公にイライラさせられたりするのかもしれません。
 唐突ですが、そして今更ですが、これアニメ化しないかなあ。『ARIA』とかが普通に受け入れられているなら、現在でもこの緩い空気に需要は十分あると思うのですが。主人公、高校中退ニートなので、現代性もばっちりです。作者の別の作品の解説を書いてるからという小さい理由で、監督は庵野秀明を希望。
 最後に、もう一つライムの台詞を引用。


 「この人バカかしら」


 ツンデレではなく、まじりっけなしのツンです。
 これはこれで。