機動戦士ガンダムSEED DESTINY 第35話

 新機体、ようやくお披露目の回

キラ、割と平気な顔して生存

 どう爆発すれば、あんな「手足だけもがれてコックピット周りは無事」な状態になるんだフリーダム。とかは置いておいて、キラがあっさりカガリに回収されていて、少しびっくり。また例によって、二週ばかり生死不明になるものとばかり。もう放送期間も終盤に差し掛かっていることに気付いて、そんな話数を食う展開は避けたくなったのだろうか。

テンポ早い

 作中の時間経過がよくわからないので、一概に急展開とも言い切れないが、いつの間にか民衆が蜂起してロゴスのメンバーを襲撃してたり、地上に降りると言った議長がその数分後にはジブラルタル基地に着いていたりと、SEEDとは思えないテンポの良さ。いや、かったるいよりは全然いいのだが。

ドムが

 今回地味に意外だったのが、例の「ドム・トルーパー」が、エターナルの格納庫だかあの小惑星の秘密ドックだかにあったこと。ラクスサイドの機体なんだろうか。てっきり、議長側の新しいやられメカだとばかり。終盤で登場する味方量産機、ということはアレか、前作のアストレイ三人娘みたいな、適度に死んで場の緊張感を維持する役目を背負わされるのか。ケミストリーの片割れも可哀相に。

キラの新型機について

 スーパーフリーダム改め、ストライクフリーダムガンダムは、漠然とラクスが宇宙から持ってくるものと思っていたが、今回フリーダムの基部が回収されていたことを考えると、オーブで全面的に改修、というかパワーアップの線もあるかも。そうなると、ラクスとカガリ、二人の思いが籠められた機体、或いは地球とザフト双方の技術が融合した機体とか、そういう意味づけがなされる? 書いてて恥ずかしくなった。

シン→ルナマリア

 前回の戦闘について素直に賞賛するルナマリアに、「そう?」と素っ気無く返し、それに引き換えレイには「有り難う!」と満面の笑みで答えるシン。おいおい腐女子アピールきっついな、とかはどうでもいい(完全に間違っているとも思わないが)。最近のシンの、ルナマリアへの極端な冷淡さが、いまいち納得できなかったのだが、この関係をアスランを含めて眺めることで、一つの解釈が見えてきた。つまり、シンのアスランへの反感がまず前提としてあり、その延長線上にアスラン(なんか)に対してコナを掛ける女であるルナマリアに対する微妙な感情が発生しているのではないか、ということだ。中坊臭い潔癖さの表現としては、なかなかいいところを突いているのかもしれない。

ルナマリア

 で、ルナマリア本人についての問題。視聴者の側としても、こんな事態になってもまだアスランアスラン言ってるのはどうなの、とシンに同調したくなるところではあるが、ちょっと考えてほしい。ともすれば忘れそうになるがルナマリアは、ラクスがらみのデュランダルの暗躍(偽者の擁立、本物の暗殺未遂)の事実を、アスランとキラの会話を盗聴することで知ってしまっているのだ。シンなどが苛立つ、アスランの妙に煮え切らない態度の理由を(全部ではないにせよ)理解しているが故に、彼に同情的になっている(だけ)なのではないだろうか。初期の、少女漫画風嫌な女的な振る舞いを除けば、ルナマリアは基本的に常識人である(電波だったり、役立たずのくせにMSで出撃しようとしたりしない分、地味であるとも言える)。艦長がただ一人、デュランダルの行動に違和感を覚えていること等も併せて考えると、ミネルバでは女性の方が比較的真っ当な人格に描かれている。前回のアークエンジェルの反対。

レジェンドって

 二期目のOPからさんざん煽っておいて、やっと顔見せした主人公機ディスティニーよりも、むしろレジェンドの方が気になる。シルエットが、なんとなくというレベルではなくプロヴィデンスにそっくり! キラが初遭遇時に「あれは!」とか言いそうなくらいに。EDでの並びから、勝手にルナマリアが乗るものと思っていたが、これはもうクルーゼのクローンである(と決まったわけではないが、素直に見たら……ねえ?)レイ用で確定なんだろうなあ。まさか議長ではあるまい。

レイの動機

 シンの「仇は取りましたよ」という言葉に反応して、レイがクルーゼの最期の瞬間を回想(直接目撃したはずは無いのだが)。総集編で、漠然とではあるが描かれていたように、クルーゼとデュランダルの二人がレイの父親代わり(?)だったらしいので、レイがキラ及びフリーダムを仇として憎んでいてもおかしくない。単純にデュランダルの操り人形としてのみ動いていると思われていたレイだが、個人的な動機も存在していたわけで、めでたい限りだ(何が)。

アスランというキャラクター

 前作において、才能はあるけど素直ないい子からスタートし→友人の彼女とのSEXを経て反抗期に突入→親友とのガチンコバトルと電波少女の癒しによって、何だかよく分からない妙な悟りの境地プラス戦闘ではほぼ無敵な状態に到達した、我らがキラ君。デスティニーにおけるキラは当然、前作終盤の神がかり的な状態を維持したまま登場している。こうなると今作でのキラは、最初から完成された、視聴者が感情移入しづらい、むしろ共感を積極的に拒否するキャラクターとして描かれていると言わざるを得ない。決して間違わないキャラクターに共感出来ると言える人間は、相当の阿呆だ。
 それを補うかたちで積極的に「間違って」くれているのは、主人公であるシンではなく、アスランである(シンは間違い方が間違っている)。過去を隠すための偽名を捨てて本名を名乗る、カガリを守るためにオーブにいたはずなのに昔の血が騒いだのかザフトに復隊する、そして今週の予告を見ると今度は「俺のキラきゅんを殺そうとする連中と、これ以上ツルんでいられるか」とばかりにザフトを飛び出すようで、その無軌道ぶりが頼もしい。シンはアスランに対してこそ「何がしたいんだ! アンタは!」と言うべきではないか。それは冗談だが、今作のアスランは、とにかく試行錯誤の人という印象が強い。
 そもそも、アスランというのは決断するキャラクターだった。前作において主人公であるキラが、それまでの味方であった連合と戦闘することに何の苦悩も見せなかった(離反を決意したのは、あくまで艦長以下のアークエンジェルクルーであり、キラはその状況に後から参加しただけ)のに対し、アスランは、ザフトを離れてキラと合流することを(ラクスに説教をされた上でではあるが)一応は決断したのだ。あるいは、戦争に自分の意志で参加したアスランと巻き込まれたキラという、キャラクター設定段階での差もある。
 自分で書いていて、結論が見えなくなってきたが要は、キチガイ主人公と教祖系前主人公に挟まれているおかげで、アスランが普通のいい奴に見えるという話です。

予告から読み取れる情報

 どうやらアスランの脱走に、ミーア(偽ラクス)がついていくらしい。ここで問題になるのは、色々大ごとになってきて嫌気がさしたから逃げたくなったのか、また議長の差し金なのか、ということ。まあ八割がた後者なんだろうけど。ラクスの命(タマ)ァ取ってこいや、とか? それと、グフで逃げるらしいが、せっかくなんだからレジェンドにすればいいのに。あまり迷惑をかけたくなかったんだろうか。

オーブに着いたら

 アークエンジェルが、オーブに向かっている。オーブ、ということはつまりサイ・アーガイルが登場するということに他ならない(断言)。そこで、キラとサイの再会シチュエーションを予想してみた。
1.フレイの墓参りで鉢合わせ
2.カズイと腕を組んで歩いているサイを見かけるが、キラ素通り
3.新型MAに乗って現われるサイ。二秒で瞬殺。(「キラ! お前は俺の――」)
 あー楽しみ。