『樹上のゆりかご』(荻原規子/理論社)

 ぐわー! また続編ものだ! ここ最近の遭遇率は、呪われているとしか思えない。繰り返しますが、カバーにあらすじを! まあ独立した話にもなっているから読めなくもなかったが。
 思うさま書くと、色々と汚い言葉が飛び出しそうだがそこはカット。カットした上で言わせてもらうと、やっぱりファンタジーの人なんだなあ、とつくづく思う。某ターンAの宵越しの祭りではないが「男は男、女は女」という思想を、(それなりの葛藤を経た上であっても)ここまで露骨に出せるというのは、創作の根本を現代小説に置いていないということの証左ではないのか。それが悪いことだとは全く思わないが。
 個人的に辛かったのは、この主人公が劣等感の裏返しからくる傲慢さを持った観察者気取りの馬鹿ガキであることを、作者が毛ほども自覚していないように見えるところ。この辺の処理をうまくやらないと、最近の青春小説の基準からすると、ひどく見劣りすることになるのでは。