『吹雪の星の子どもたち』(山口泉/径書房)

 多分、著者の最初の本。
 新城カズマの気持ちが、やっと分かった。これなら納得する。これを書く人が、ああいうものを書くようになってしまうのか。月日とはつくづく残酷なものだ。
 ファンタジー。ボーイがガールにジャストミートですよ。87年の作品なのだが、今読むと「セカイ系?」という印象を持つ人も決して少なくないのではないだろうか。そもそもセカイ系的なものが、ここ数年の間に急速に台頭してきたという物言い自体が、嘘臭い上に情報操作的なものすら感じるのだけど、誰もそれには賛同してくれない。むしろ一昔前の方が、衒い無くボーイミーツガールをやっていたという意味において、無自覚なセカイ系が大量に存在していたと思うのだが。
 400ページかけて、作中時間では一日も経っていない。イカス! あとがきで告知されている続編は、ちゃんと出たのだろうか。