『魔王城殺人事件』(歌野晶午/講談社ミステリーランド)

 読んだような読んでないような。
 と、図書館で迷った挙句に借りた。
 案の定、以前に読んだことがあった。
 ミステリーランドって、なんだかんだ言って「小学校5(6)年生の『僕』」が「仲間」と共に「怪しいウワサ(不思議な事件)」の真相を探る、という形式のものが多いので、印象に残り辛いのかも知れない。若年性健忘症等の可能性については、あまり考えたくない。
 改めて読み直して、そして同じことを思うのだが、メインの読者として想定されている子供は、この作品に限らず児童文学全般に多く見られる「小利口で生意気だが、最終的には大人に助けられ諭される格好悪い子供達」なんか、本当に読みたいのだろうか。極端なことを言えば、普通にジャンプ漫画を読んでる小学生が心から要求するキャラクターは、もっと有能で且つモラルが低い(でなければ極端に高い)と思われる。残酷描写を入れろ、ということではなくて、大人から見た「等身大の子供(たとえそれが「過去の自分」の反映であったとしても)」を安易に物語に登場させるのは、色んな意味で危険であると言いたいだけ。どうしたって、見下した表現にしかならない。ストーリーを面白くするという、その一点に限って言えば「バッテリー」のような、理想化されたカッコ良すぎる少年(とその友人関係)を出してしまった方がマシ。まあこれだって、読者が異性をはっきり意識するくらいに成長してくれば、その裏側の作者(年配の女性。元教師)の欲望になんとなく気が付いて、反感を覚えるようになると思うのだが。