『世の終わりのための五重奏』(山口泉/河出書房新社)

 若干、「俺の嫌いな山口泉」になっている。無駄に複雑な構成とかは大好きなんだけどなあ。なんでこんなに露骨な形で、社会批判をやってしまうのか。「吹雪の星の子供たち」では、極めて自然にストーリーの中でそれを処理できていたのに。作中にやたらと出てくる、「禁作家」に似た境遇に作者も置かれたことがあってそれが原因で捻くれた、とでも言うのだろうか。