『宇宙のみなもとの滝』(山口泉/新潮社)

 ファンタジイ! いや、確かに紛れもないファンタジーではあるんだが、ファンタジーノベル大賞の選評で何人かの選考委員が使っている「正統派のファンタジー」という表現にはさすがに違和感が。大賞の『後宮小説』との比較で言えば確かにそうなんだろうが、これだって十分に破格だと思うぞ。
 どうやらこの作者も、完全なスターシステムではないが、同名の登場人物が設定の全く異なる作品に登場する方式を採用しているようだ。そうか、二十一星三十二郎は、酉埜森夫だったのか。全然関係ないが、どの作品に登場する小学校の女性教諭も、とんでもなく腐った人格に描かれているのが、ある意味好印象。きっと、俺と似たような担任に当たったんだろうなあ。