縁もゆかりも鉄平もない

 とあるサイトで、森見登美彦の『四畳半神話大系』(太田出版)についての「前作である『太陽の塔』(新潮社)と全く同じ話だった」という趣旨の感想を見つけました。


 さすがに首をひねりました。確かに両作品には、舞台が京都であることをはじめ、共通する要素が山ほどあります。しかしそれがイコール「同じ話」ということになるのかと言うと、正直かなり疑問です。これは、喩えるなら「どっちも環境問題がテーマだから『ナウシカ』と『もののけ姫』は全く同じ話。あと、どっちも島本須美が出てるし。アスベルとアシタカの声優一緒だし」と主張するぐらい強引です。さらに分かりやすくすると「どっちも大豆から作られるから、豆腐と納豆は全く同じもの」と言うようなものです。余計分かりづらいですか。


 まあこのサイト、「西尾維新がうんたらかんたら」と語っているので当然、戯言シリーズは全て読んでいるものだと思っていたら、つい最近「ようやく『クビキリサイクル』読んだ」とか抜かす正真正銘の戯言遣いなので無理もないですが。じゃあお前の中では「『りすか』の西尾維新」なのかと。あんたは大森望かと。


 わだかまりをそのまま言葉にしていてはキリがないので唐突に、結論。


 どっちも好きですが『四畳半神話大系』の方が三倍好き。『太陽の塔』だけ読んで見切った気にならないで、是非とも手に取ってみてください。