『ゲッベルスの贈り物』(藤岡真/東京創元社)

 とりあえず、タイトルのインパクトが凄い。
 『ギブソン』よりも青臭い。だがそれがいい。他の要素の評価が全く一緒で、熟練度にだけ差のある二つの作品があったら、俺は間違いなく未熟な方を選ぶ。
 CG一般についての大嘘っぱち描写については目をつぶる。93年の作品であることを考えると余計に嘘っぱちなのだが、それでも目をつぶる。
 よく考えたら『ギブソン』もこれも、最終的に落ち着くところは「中年の主人公が、一回り以上年下の美人と結ばれる」だ。しかも主人公はどちらも、作者と同じCM製作関係者。別に構いませんけどね。